グルメが嫌いだ。
ただただ欲望を満たすためだけに飯を食ってるだけのくせに無駄に偉そうなのが腹が立つ。
寝ること大好き!
SEXサイコー!!
なんて人前でのたまった日にはクズ扱いにもかかわらず、何故かグルメだけは高尚なものとして扱われている。
そんな捻くれた人間なせいかグルメ漫画はあまり読まないのだが、一つだけお気に入りのグルメ漫画がある。
それがwebのヤングエースUPで連載されているサイコグルメという完全な新ジャンルを開拓しているheisoku先生の描く「ご飯は私を裏切らない」だ。
「ご飯は私は裏切らない」 作品紹介
グルメ漫画にもかかわらず1話の冒頭からこの世界観。
世が世ならガロとかに連載されてそう。
どこか病み可愛らしさのある主人公は29歳、中卒、恋人友人なし、バイト以外の職歴なし。おまけに漫画の中で名前すらない。
完全にないない尽くしの主人公の“私”がただただその日を生き抜くために何かを食べていく。
これがグルマ漫画の図解か?
完全にサイコ。
グルメ漫画なんだからもっと色々おいしそうに調理してる姿とか、素敵な食材の絵柄とかないんですかね…?
なんて思ったそこのあなた、もちろんありますよ!
おいしそう…に見えなくもないが、左上にいる謎の生き物や中身に触れない方が良さそうな薬の袋に目がいって一切グルメに集中できない。
そして“私”は毎回何かを食べるたび、イチイチこの世の生命に思いを馳せる。
「殆どの生き物は死に物で、むしろ死ぬほうがメインストリーム」
「親子丼は鶏に見知らぬ無精卵をかけて親子と言い張るのだから猟奇的」
「百獣の王だって最後は孤立して餓死」
とまぁ完全に発想がヤバイ方向にイッちゃってる“私”。
しかしそれもそのはず、彼女にとっての食はまさに生きることの象徴。
食はただの娯楽ではなく、誰かの命を奪い、自分の命の糧にしていく行為だと彼女は理解している。
例えが自分が無価値な存在であろうと、“私”は何かの命を犠牲にして生きているのだ。
彼女は何かを食べる。日々の心の平穏のために。いつか終わりがくるその日まで。
まとめ
なんだか最後は大袈裟になってしまったが、「ご飯は私を裏切らない」はheisoku先生の独特な世界観と絵柄とグルメという異色のテーマの融合が見事なハーモニーを産み出している非常にユニークな漫画。
主人公の“私”はどこか愛らしく、厳しい現実をどうにかしようと過ごしている姿はどこか微笑ましくもあり、コメディとしても楽しめる。
そんな他のグルメ漫画とは一線を画すどころか完全に断裂してしまっているサイコグルメ漫画「ご飯は私を裏切らない」はwebのヤングエースUPで全話無料で公開中。
グルメ漫画好きも、普段読まない方にもおすすめ。
またheisoku先生の可愛らしい?女の子がたくさん出てくるサイコホラー漫画が読みたい方はニコニコ静画で読める「閉塞まんが」もおすすめ。
※掲載している画像は『ご飯は私を裏切らない』 著:heisoku より引用しています。