2020/7にTwitter上で話題・騒動になった「ananのSEX特集」と「宇崎ちゃんの献血ポスター」の関するまとめです。
否定派・擁護派のそれぞれの主張を整理し、何が問題だったのかを自分なりに整理してみました。
タップできる目次
「ananのSEX特集」の炎上の背景
女性誌『anan』のSEX特集の表紙・広告デザインに対して、「宇崎ちゃんの献血ポスターが環境型セクハラでananが該当しないのはなぜ」というツイートが話題に。
宇崎が環境型セクハラって言われてるのに、SEX特集は環境型セクハラに該当しないのはなぜ pic.twitter.com/HBNDoJkXCf
— かしわもち (@ARL0805) July 30, 2020
このツイートを受けて、主に宇崎ちゃんポスター擁護派の主な意見は、
・宇崎ちゃんポスターを否定していたフェミニストは「anan」についてどう思うのかを説明するべき
・ananのSEX特集が問題ないなら、宇崎ちゃんポスターだって問題ないはず
その論調に対し、フェミニスト(一括りにすべきではないが、ここではわかりやすくそう書く)・擁護派がそれに反論する形で論戦になった。
宇崎ちゃんの献血ポスター騒動とは?
日本赤十字社と漫画「宇崎ちゃんは遊びたい!」がコラボした献血ポスターが「過度に胸を強調した性的なデザイン」だと問題視した外国人男性のツイートがきっかけとなり、この広告が“環境型セクハラ”にあたると一部から批判が起きた。
I admire the work the Red Cross does, which is why I’m disappointed that @JRCS_PR in Japan would run a campaign using the over-sexualized Uzaki-chan. There’s a time & a place for this stuff. This isn’t it. #women #metoo #kutoo pic.twitter.com/bhds7IPPTq
— Unseen Japan @ BLM だよ (@UnseenJapanSite) October 14, 2019
騒動に対するTwitterの主な反応(一部抜粋・編集あり)
否定派(anan否定・宇崎ちゃんポスター擁護派)
こんな堂々とSEXってかかれた雑誌が並んでるって、こっちの方が気持ち悪いんですけど…
ananは環境型セクハラですね。ツイフェミはなぜ言わない?
宇崎ちゃんの献血ポスターとananの愛とSEXの表紙と、どっちが性的(に強調された)なものかは言うまでもないよね。
表現の自由を掲げる側としては、どっちも良し(個人的好き嫌いは当然自由)なんだけどね。だからこちらはananの表現も問題視してない。宇崎ちゃんを否定した論調ならananも否定されるはずなのに、否定してた人がダブスタするからこちらは突っ込んでるだけと理解してないんだよなぁ。
・宇崎ちゃんポスターよりも半裸の男性の表紙でSEXと明記されているananの方が性的に強調されている なぜ宇崎ちゃんだけダメなのか。
・宇崎ちゃんだけを否定して、ananを否定しない人はダブルスタンダード(矛盾)だ。自分が不快だと感じるものだけを否定しているだけではないか。
擁護派(anan擁護・宇崎ちゃんポスター否定派)
ananの男性ヌードって、綺麗じゃないですか??過度な性的描写がないというか。男性向けの雑誌のヌードって、人の美しさというよりも◯◯◯を勃たせるための描写になってるから嫌がられるのでは…?
本当に環境型セクハラだって怒ってる男性は見ないけど『ツイフェミはSEX特集も環境型セクハラだからちゃんと叩けよ』って怒りを露わにしてる男性は沢山見る 結局のところツイフェミに加害したいだけなんだよね
ananのSEX特集号にアンチフェミニストが噛みつく人たちはどこまでも「相手のダブスタ」に執着するばかりで、自分たちの意見は言おうとしないんだよな。
「エロ本を置くのがダメならananのセックス特集は良いのか」と言ってる奴らが書店にも出版社にも抗議しないのは、やめて欲しい理由として必要なはずの抑圧をそもそも男はananの表紙から何ら受けてないからだよね。単にネット上の口喧嘩でクソ雑な論理を振り回して女を黙らせたいたけだよね。
・「anan」が不快・環境型セクハラだと感じるなら自分たちで抗議すればいい。ダブスタだと批判するのはただフェミニストを攻撃したいだけにしかみえない。
・「anan」は雑誌・発行に伴う広告であり、「宇崎ちゃんポスター」は日本赤十字社のポスターだからそもそも同性質のものではない。
中立派
「ananの主要購買層」と「宇崎ちゃんを攻撃していた人」が完全に一致しているわけでもないので、なんか「敵/味方」で判断せず、「ananも宇崎ちゃんも売れるといいですな、わっはっはっ」でいいと思うのです。
私は両方とも不快です。 しかしセクハラという意味では A 宇崎ちゃん→女性性消費と表現の問題 B anan→露出とキャッチフレーズの表現の問題なので 解決糸口も問題点も違く、Aを問題視してた フェミニストの観点とは違うので フェミニストが解決しろ気にしろは暴論にすぎません。
ananのSEX特集の件は、「二次元に文句言うならananにも文句言えよ」という風に持っていってはダメよ。 「ananのSEX特集がOKなんだから、二次元の絵だって問題ないよね?」という風に論理展開しないと。
男性向けも女性向けも性的表現全否定ならまだ筋が通るけど、ananと宇崎ちゃん…実写で露骨にsexと言葉を使ってる分、むしろ性的、に近いのはananではないだろうか。赤十字、ポスターもファン向けのオマケだった。 男性も女性もセクシャル、性的な表現を楽しめば良いと思うし、自己実現すれば良い
個人的に論点だと思われる箇所をまとめてみました。
フェミニストの意見はダブスタ?(ダブルスタンダード)
「宇崎ちゃんのポスター」が環境型セクハラに該当するなら「ananのSEX特集」も環境型セクハラに該当するはず。にもかかわらずananの否定をしないのは論理が矛盾している。「フェミニストは自分が不快なものを単純に否定しているにすぎない。」という意見。
ディベートならこの論理展開は間違ってないとは思います。その論理矛盾を説明せよ!ということですね。
でもこれは議論ではなく現実の出来事なので、擁護派の「ananが問題だと思うなら性の搾取の主体となっている男性が抗議するべき」という意見は概ねその通りではないでしょうか。
でも批判している人の論理は「ananがいいなら宇崎ちゃんポスターだっていいはず。過去の批判を撤回しろ!」がそもそもの意見なので、ちょっとお互い噛み合ってない感じがします。
もし男性がananを「男性を性的搾取している!」と否定・抗議した際にフェミニストがananだけを擁護した場合はダブスタになりかねませんね。
実際ananの表紙に関しては、今回だけでなく過去の表紙も含めて性的に感じる層がいるのは事実でしょう。(例えば中高生の多感な男の子)
単純に性的に見える(見えかねない)ものがゾーニングされていないことを問題視するべきなら、当然ananも精査されるべきではないでしょうか。
そもそも「宇崎ちゃんポスター」と「ananのSEX特集」は違う?
「ananのSEX特集」はコンビニ・書店などに陳列されるが、「宇崎ちゃんポスター」は献血センターで掲示されたもの。
「ananのSEX特集」の広告は出版社の広告だが、「宇崎ちゃんポスター」は日本赤十字社の献血を喚起のためのポスター。
この二つはそもそも目的や場所が違うので、意味合いが変わってくるという主張。
確かに「宇崎ちゃんポスター」が書店などに陳列されていただけならここまで大きな批判を受けることはなかったかもしれません。
そうなると、なぜ「献血センターでのポスターはダメで、単純に雑誌の広告はいいのか?」という問いが出てきます。
事実、「ananのSEX特集」の広告も多くの目に晒される場所で広告されていたことがあるようです。
この論点を整理すると「性表現を感じさせる(可能性がある)媒体は、TPOをわきまえる必要がある」ということでしょうか。
するとさらに
「TPOの具体的な要素・条件とは?」
「果たして宇崎ちゃんポスターは過度に性的なものだったのか?」
という問いが生まれますね。
男性と女性の立場による違い?
そもそも男性と女性の間には性的差別・抑圧を受けている現状に明確に差が存在している以上、男性が性的消費されることと、女性が性的消費されることによる社会的影響は決して同列ではない。
女性は性の差別・性を解放することへの抑圧を男性より多く受けており、差別だと感じるものに声をあげること、自分の性を表現することへの権利を守ろうとすることは不自然ではなく、今回のケースは単純にダブルスタンダードだというのは誤りである。という主張。
確かに今回の騒動は、単純にこの問題だけで判断するのではなく、現在の男女格差・社会構造の仕組みを勘案して判断する必要はありそうです。
この問題はともかくとして、今の社会では性別が女性であることで不利益を被ることが実際に存在する以上、社会全体で解決していくべき問題なのは事実ではないでしょうか。
もちろんそこには男性であることで不利益を被るケースも是正されるべきなのは当然ですが。
まとめ
毎度のことではありますが、今回の騒動でも自分の主張と相反する人をただ攻撃したいだけの発言が目立ちましたね。
どちらにとっても損でしかないので、あまり過激な発言はせずに冷静な議論を積み重ねていけるといいですね。
私自身ジェンダーの問題は専門的知識があるわけではないので、勉強も兼ねたまとめとなっておりますので、何かご意見などがございましたらコメント欄でお知らせいただけますと助かります。
過去の二次元とジェンダーに関する騒動まとめはこちらから。