「『カイジ』の世界が、またひとつ、これで広がりました!」
原作者、福本伸行にそう言わしめた中国映画版カイジ「カイジ 動物世界」がNetflixで配信されてるので早速みた。
もう予告編を見るだけで、コレ相当やらかしてんなってのがもろバレ。しかしこのチャイナ版カイジ、制作費70億円・ハリウッドで活躍するCGスタッフを用意するなど相当の入れ込み具合でカイジ作ってる。70億とかじゃんけんするだけの映画に使う制作費じゃないでしょ。
しかしヤンマガで現在連載中のカイジくん、今現在24億円持ってますから、簡単な映画の一本や二本は作れる財を成していると思うと震えますね。団地で籠城してる場合か、カイジ。
中国版カイジはとにかくなんでもあり。
とにかくチャイナカイジがすごいのは、老若男女全ての層がどっかしらで受けそうな要素をとにかくぶち込んでること。
ラブロマンス・アニメーション・アメコミ映画風VFX演出・カーチェイス・エイリアンらしき生物とのバトルと、とにかくなんでもやりたい放題。もはややりすぎて作品の方向性が迷子。
しかもとりあえずぶち込んでおいて、それはただの妄想でしたというオチばかり。自分の意思でエスポワール号(劇中ではディスティニー号)に乗ることを決意して集合場所にきたのに、なぜか急に車奪って逃げ出して、超ド派手カーレーススタート。
しかもVFXバリバリのストップ&スローモーションの多様はハリウッドさながらのど迫力アクション。アメコミ映画見てる気分。
でもやっぱり妄想。いや、それいる?
そしてディスティニー号に乗って、会場でまずお目見えするのが、じゃんけんの残数を表示する電光掲示板の上に檻に入った虎。いや、虎いる?
しかもこの虎、ただのオブジェ。一切の出番なし。いやどうせなら脱落した失格者食べさせたりしろや!!
さすが中国、発想や着眼点が自由すぎる。多分製作陣も、
「なんかここに虎いたらアガらね?」「ヤバ、めっちゃあげぽよー!」
みたいなノリだから必然性とか一切考えてない。とりま楽しければよくね?ってノリで映画作ってる。中国映画、ノリがギャル。ギャルの文化祭のノリ。あれもやりたいこれもやりたいで、やりたいことありきで映画作ってる。日本じゃ絶対許されない。中国すげぇ。
さらにタチ悪いのが、潤沢すぎる制作費がギャルノリをめちゃくちゃ高品質で仕上げてる。とりあえず制作費あるんだから、あるだけ使っちまえ!!の精神。もう発想が役所。予算削られないための道路工事くらいの感覚でやってる。チャイナ版カイジ、ギャルと役所のコラボ。
そんなふんだんな映画要素をぶっ込みまくった前半が終わると、本編となる限定じゃんけんがスタートするのだが、ここの作りはすげーしっかりしてる。ほぼ原作踏襲。
日本版カイジよりもよっぽどしっかり作ってて、多少の違和感はあるものの、普通に楽しめる。日本版はEカードまでやってるけど中国版は限定じゃんけんのみで仕上げてるので、じゃんけんの再現度は高く、よくできていた。
しかし限定じゃんけんのみで、どう話に収集つけんだ?と思っていたら、ラストはなんと衝撃の・・・気になる続きはぜひ映画をご覧ください。
カイジファンなら見るのは全然あり。
このチャイナカイジ、色々とぶっ飛んでいるところはあるものの、映像のクオリティは非常に高く、日本映画では味わえない面白さがふんだんに詰まってる。
同じ原作で映画作ってるのにこんな違うのか、なんて異文化体験もできるし、今の中国の勢いみたいなものを感じさせる映画になっている。こういう自由さとか無茶苦茶さとかは日本では絶対無理。少しは影響受けてもいい気がする。
カイジファン以外は全く見なくていいが、Netflix(初回登録で初月無料)で見れるので、ファンならぜひポテチとコーラ片手に楽しんで欲しい。