『週刊SPA!』(2018.12.25号)の「ヤれる女子大生RANKING」という記事が性差別だとしてネット上で批判が相次いでいる。
『週刊SPA!』編集部はそれを受け、2019.1.25号において抗議をした女子大学生グループと会談を開き、その様子と謝罪文を掲載した。
問題となった記事内容は、「ギャラ飲み」と呼ばれる「女性にコンパに参加してもらうために、男性がお金(ギャラ)払うコンパ」の特集に関する記事の一部。
参加している女子大生の中で「どういった見た目の女性がヤレるのか」・「どの大学の女子大生がヤレる確率が高いか」について書かれているのが性差別だと非難された。
以下、その抗議文の一部抜粋とyoutubeにあがっている抗議動画。
「ヤレる女子大学生RANKING」が先日、週刊SPAにより10/23日に出版されました。2018年、世界中の女性達が戦い、女性の権利を、女性の声が届くように働きをかけました。
日本で初めてのG20が今年、2019年に開催される中新年早々こんなランキングを出版するのは、冗談にもほどがあると思います。週刊誌および出版社による、女性の差別用語、軽視する発言を今後一切やめる他、今回の記事の撤回及び謝罪をお願いします。女性の軽視は笑い事ではありません。こう行った発言により性犯罪に合う女性は後を絶ちません。
法務総合研究所「第4回犯罪被害実態(暗数)調査」によると、日本で性暴力を訴える女性はわずか18.5%となっています。残りの81.5%は?我慢しています。性犯罪も、痴漢も、わいせつも日本の社会では「範囲内」だから。
世界では、5人に1人の女性が18歳の誕生日を迎える前にレイプ、もしくは性犯罪に合います。
法務省のデータによると、性犯罪で訴えられる人の10人に1人しか、罰しられません。(中略)私達、女性は男性より下ではありません。同じ人間です。男性のために存在しているわけではありません。声を上げて、日本でも女性に権利を、そして女性に対する軽視を無くしましょう。
悪いのはどう考えても、低俗な記事を書いてる『週間SPA!』にある。
ただ今回の騒動に関して抗議活動をしている方の主張を聞いていると、どうも全面的には賛同しにくいなぁと感じてしまった。
誤解を恐れずに言わせてもらうと、その理由は、
単純にスベってるから。
なぜスベってるのか
今回の『週刊SPA!』の記事が女性にとっては不愉快で、否定的な意見が出るのは当然。
それこそこの記事が『週刊SPA!』ではなく『AERA』とか『NEWS WEEK』とかで掲載されてたら、そりゃもうとんでもない大問題になってるはず。
でもね、今回はあの『週刊SPA!』ですよ!?
毎週くっだらねぇクソみたいな記事しか載ってないあのSPA!ですよ?
(あ、いい意味!!いい意味だから!!)
もちろん低俗な雑誌だからって何書いてもいいわけじゃないけど、このしょーもない雑誌の一記事、しかも一ページの半分にも満たない記事に対して、
「女性蔑視・軽視を助長し、レイプなどの性犯罪を増加させる」とか「女性は男性より下の存在じゃない! モノじゃない! 男はその価値観を改めろ!」とか言われると、
いやいや、さすがに風呂敷広げすぎじゃない?
ってなる。
それは主義主張のデカさと、記事のショボさがあまりにも不釣り合いで、無理やり話題づくりに記事を利用しているように感じてしまうのが原因。(あくまでも印象の話)
昔、クソゲーとして名高いファミコンゲーム「たけしの挑戦状」っていうバカゲーがあって、やっとの事でクリアしたのに、
「こんな げーむに まじに なっちゃって どうするの」
とビートたけしを模したキャラに煽られる理不尽なエンディングがあるんだけど、今回の騒動も「こんな 記事に まじに なっちゃって どうするの」とどこか言いたくなってしまう。
バカとまともに取っ組みあってる人って、遠巻きに見たら取っ組み合ってる人も同じバカに見える。
バカな記事と真剣に取っ組み合ってどうすんのよ。
そんな空回り感がスベってるように見える原因。
そんなに男だって馬鹿じゃないですよ
あともう一つ感じてしまうのが、今回のSPA!の記事が「女性蔑視」や「女性を性として消費していいんだと男性を勘違いさせる」みたいに言われると、
いや、男だってそこまでバカじゃねぇよ!!!
って感じてしまうのもスベっているもう一つの原因。
だってあの『週刊SPA!』ですよ!? 買ってるところ会社の同僚に見られたら終わるな…って思いながら暇つぶしにコンビニで立ち読みで読まれてる週刊誌No.1(コニシ調べ)のあのSPA!ですよ?
(いや、いい意味!!いい意味だから!!)
今回の記事だって、ほんとクソ中のクソ記事。
「リッチな男性が20〜30万払う代わりに、コンパコーディネーターが可愛い女の子を連れてきてくれるコンパがあるらしいので、潜入してみた!!」みたいな記事の一部ですよ?
そんなページに記載されてる「ヤレる女子大ランキング」を誰が参考にするんですかって話。まともな男はこんなのファンタジーとしてしか見てません。
例えば、最近ドラマ化もした『深夜のダメ恋図鑑』という”ダメ男をあげつらって女性たちが愚痴りあう”漫画があるんですけど、あれって、
「うわーこんなろくでもない男が世の中にいるの? ほんとに? 嘘でしょ? ないわ〜。」
ってブラックユーモアとして楽しむ作品ですけど、それを真に受けて、
「男ってろくなやついないよねー、ほんと日本の男って最低なやつばっか!!」
とか言ってる女性がいたら、もうその人確実にバカじゃないですか。
同じようにSPA!の記事読んで、
「マジか!! ●●大の女はヤレるのかー、今度誘ってみよ!!」なんて考える男がいるとしたら、もうそれは救いようのないバカ。多分脳みそアメーバに食べられてる。
そんなバカを基準にして男を語られると、どうしたって男としては抵抗あります。
もちろん信ぴょう性の有無ではなく、「そういう記事を載せることがそもそも問題なんだ」という主張は理解できます。
この問題は本当に正しい形で進んでいるのか?
今回の騒動は結論としては『週刊SPA!』側が謝罪をする形で収束したので、結果的には抗議側の勝利、というか納得のいく形に収まったんでしょうけど、本当に大切なのは、
「この騒動の結末が”彼女たちが目指す性差別のない理想的な世界に進展していくのか?」
という点。
彼女たちの根底にある主張はとても意義のあるものだし、声を挙げる勇気や行動力は素晴らしいと思います。
世間に訴求力のある話題になったし、僕としても今回の騒動を通して勉強になったことも多いです。
ただ抗議した彼女たちだけのせいではありませんが、話題というのはどうしてもセンセーショナルに、かつ面白い方向に進むもので、現状だけを見れば、性差別に不満のある女性側の鬱憤晴らしと、男性側のフラストレーションを溜めるだけの結果になったように見えます。
というのも男性側からすれば今回の問題に対して、
「何そんなにムキになってるの?」
とか、
「女性だって『抱かれたい・抱かれたくない男ランキング』とかやってるじゃん。何が違うの?」
といった否定的な意見が多い。
それはやっぱり男性側からすると今回の騒動がスベってるから。
このスベってるって感じるのが僕だけじゃないとしたら、それは割と深刻な問題で、相手の主張に対してシラけるということは、その主張にどれだけ正当性があっても、耳を貸す気にならないということ。
ネット上でよく見かける、
「あ〜またフェミニストさんがなんか言ってるよwww」
なんて煽りはその最たるもので、あんまりスベってばかりいると、議論をすることを放棄する男性が増えてしまうかもしれない。
性差別の問題を語るときに男女で対立してしまったら、もう泥沼。
恐らく今回の騒動は片足を泥に突っ込んじゃってる。
ただこの騒動のおかげで僕のように性差別に対して関心が高まった人もいるはずで、こうやって世間で話題になることがまずは第一歩なのかもしれない。
抗議を行った団体の代表である山本和奈さんも「男VS女にしたくない」と言っていますし、女性も男性も感情的にならず、それこそ手を取り合って話し合いができる方向に進むのが望ましいですね。
騒動の発端となった『週刊SPA!』も謝罪記事の中で真摯な返事をしていますし。
「我々は女性のことが好きなんです」……偽りのない真情を吐露『週刊SPA!』2019.1.25号
…狙ってんのか? 『週刊SPA!』。